住宅ローンで重要な団体信用生命保険(団信)とは?

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概要

マイホーム購入のために、金融機関で住宅ローンを借り入れる際に、団体信用生命保険の加入が条件になることがあります。

団体信用生命保険とは、債務者に万が一のことがあり、ローンの返済ができなくなった時に残額を支払ってもらえる住宅ローン専用の生命保険です。最近では、特約保障がついた保険も多く扱われているようです。

ここでは、団体信用生命保険の特約の種類や、加入の際に注意すべきポイントなどをご紹介します。

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団体信用生命保険(団信)とは?
団体信用生命保険、略して団信は、住宅ローンの契約者が死亡したり、高度障害になったりしてローンを返済することが不可能になった場合に、残りのローンを完済してくれる住宅ローン専用の生命保険です。

多くの金融機関が、団信への加入を住宅ローン借り入れの条件としています。

住宅ローンの返済期間は長期間なので、中には返済終了が60代や70代になってしまうことも少なくありません。その間に契約者に万が一のことがあれば、家族には経済的に大きな負担がかかり、住宅ローンという負債も抱えることになります。

経済的に余裕があればいいのですが、そうでない場合はマイホームを手放さなければならい場合もでてきます。

団信で残りのローンを支払ってもらえれば、残された家族はマイホームを手放す必要も、ローン返済の必要もなく、経済的負担を減らすことができます。

金融機関にとっては損失が出ず、家族にとっては経済的負担を軽減するということになり、金融機関と家族の双方を守ってくれる保険と言ってもいいでしょう。

団信(特約)の種類

団信には、基本の死亡・高度障害保障のシンプルな保険や三大疾病保障特約付き、八大疾病保障特約付きのほか、最近ではがん保障付き、全疾病就業不能保障付きなど、特約の種類も増えてきています。

(1)基本の団体信用生命保険

契約者が死亡、または高度障害者になってローンの返済が困難になった時に残額を支払う保険です。死亡・高度障害のみを保障する団信保険の保険料は無料です。

(2)三大疾病保障特約

基本の保険にプラスする、三大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞)で所定の状態になり、ローン返済が困難になった時に残りのローンを完済する特約です。

(3)八大疾病保障特約

基本の保険にプラスする、八大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病・高血圧疾患・肝硬変・慢性膵炎・慢性腎臓病)で所定の状態になり、返済が困難になった時に、残りを完済する特約です。

(4)がん保障特約

がんと確定された時に、ローン残高の50%、または100%の返済が免除される特約です。多くの金融機関で取り扱いがあります。

(5)全疾病就業不能保障特約

精神障害を除く全てのケガや病気が原因で、仕事に就くことができない状態が1年以上続くと、その間は毎月の返済が保障され、それ以降の返済は免除される特約です。
ただし八大疾病以外の病気と、ケガの場合は入院が条件になり、1年以上就業できない場合に限られます。保険料は無料ですが、条件は厳しくなっています。

(6)十一疾病保障特約

(3)の八大疾病に、大動脈瘤・大動脈乖離・上皮内新生物、皮膚の悪性黒色腫などの皮膚がん保障特約を追加した保険です。
がんは確定されると全額返済が免除になりますが、それ以外は180日以上の入院が条件になります。

上記のほかにも、七大疾病特約、所定の身体障害や要介護度2以上になった時の特約、妻・家族が病気、ケガで一定期間入院した時の特約など、金融機関によってさまざまな特約が付いた保険が取り扱われています。

保険料もさまざまで、金利に上乗せをするのか、あるいは保険料として別途支払うのか、支払い形態も金融機関によって異なります。

団信に加入する際には、不測の事態に備えて、せっかく手に入れたマイホームと家族を守るために、コストや保障内容をよく確認しましょう。

団信加入時に注意すべきポイント

(1)健康状態により加入できない場合もある

団体信用生命保険は生命保険なので、審査があり、その審査を通れば加入することができます。審査とは健康状態の告知で、一般の生命保険に加入する際の告知よりは項目が少なく、比較的審査のハードルが低いので加入しやすくなっています。

しかし、持病や既往歴があり、病気の種類・症状・経過により、審査が通らないこともあり、その場合は団信に加入できません。

団信に加入できないと、住宅ローンの借り入れが難しくなります。

そのような場合は、住宅金融支援機構の「フラット35」を利用するとよいでしょう。「フラット35」は、団信への加入が条件付けられていないので、持病があっても加入しやすいほかの生命保険を選ぶと、団信と同じように万が一の保障が確保できます。

(2)基本の保険だけではカバーできない場合もある

団信の基本の生命保険は、死亡か高度障害で返済不能になった場合のみ全額返済免除となります。

しかし、就業不能・返済不能になるリスクはそれ以外にもあるので、特約の項でもご紹介しましたが、特約付きの団信に加入することを考えるのもよいでしょう。
または、民間生命保険会社の医療保険に加入するなど、保障内容をよく確認して不測の事態に備えておきましょう。

(3)若くて健康な人は、団信がベストではない

団信の保障内容や保険料は、年齢・健康状態に関わらず設定されていることが多く、個々の状態によって変わる民間の生命保険とは、そこが違います。

若くて健康な人であれば、団信を利用するよりも民間の生命保険に加入する方が、割安で充実した保障内容を備えることができることもあります。

40代以下で健康状態に問題がない人は、団信への加入が条件ではない「フラット35」のローンと、民間の生命保険を利用する方がお得かも知れません。

(4)既に加入している保険の見直しを

住宅ローンを組む時の条件で団信に加入する場合、既に加入している生命保険を見直してみましょう。保障内容が重複しているかもしれません。その分保険料も重複して、家計を圧迫している可能性もあります。家計を見直して、ムダを省いていきましょう。