住宅ローン特約の種類と注意点

つくば市で「住宅ローン教育資金ライフプラン/家計」に関する相談が得意な子育て世代を応援するファイナンシャルプランナーの藤井です。

テーマ  住宅ローン 注意点

家を購入するにあたって、いろいろと不安になるのがお金のこと。

中でも多いのが「住宅購入契約をしたあと、住宅ローンの審査に落ちたらどうしよう」という心配です。

家を持つためには数千万円のお金が必要。住宅ローンは頼みの綱です。

今回はそんな住宅購入希望者の味方となる「住宅ローン特約」についてお話しします。

住宅ローン特約とは?その役割は?

家や土地を購入するとき、ほとんどの人が金融機関から住宅ローンを借りて、購入代金を支払う計画を立てます。

住宅ローンの仮審査は、購入する家をある程度決めた段階で行われますが、本審査の申し込みには売買契約書が必要です。

 

ここで注意したいのが仮審査は支店レベル、本審査は本部で行われるため、「NGになることもあり得る」ということです。

しかし本審査前に売買契約は済んでいるわけですから、「大きな契約ごとなのに結局、審査を通らなかったらどうしよう」という不安が生まれるのも当然だと思います。

 

では「住宅ローンの本審査に通らなかった場合、無条件で契約解除ができます」という取り決めがあればどうでしょうか。

「ローンを白紙に戻せる」という内容の条文を、あらかじめ契約書に盛り込むこと。これが今回お話しする「住宅ローン特約」なのです。

 

住宅ローン特約の主な目的は、住宅購入者の保護です。

売る側にとっては、せっかく成立した売買契約が無効になる可能性があるため、メリットがあるとは言えないかもしれません。

しかし、大きな買い物をする住宅購入者にとっては、重要な役割を果たしてくれる制度です。

 

ローン特約付きの売買契約を締結していれば、万が一、本審査を通らなくてもすでに支払った手付金は全額返金されます。

「住宅ローン特約」は、不動産購入の際の強い味方なのです。

 

住宅ローン特約には種類があります

住宅ローンの借り入れができないのに、売買契約だけが残ってしまうと大変です。

不動産売買の契約で起こるかもしれないトラブルを防ぐために、覚えておきたい住宅ローン特約は、買主と売り主との間で交わされる特別な約束です。

 

住宅ローン特約には「解除条件型」と「解除権留保型」の2種類があります。

解除条件型

本審査に落ちて住宅ローンが借り入れできなくなった場合に、自動的に特約が適用され契約が解除となるものです。 買主自らが契約解除のための手続きをする必要がないかわりに、ほしい物件があったとしても本審査に落ちた時点で、購入は不可能ということになります。

解除権留保型

本審査に落ちた場合に買主が自ら契約解除の申し出をしてから、初めて契約解除になるという違いがあります。

また、このとき必ず契約の解除をしなければならないということはありません。 他の方法で資金調達を検討することができますので、どうしても手に入れたい土地や建物の購入にあたっては、解除条件保留型を選ぶことがあります。

 

ただし、解除の通告には期限があります。

他の方法で資金を作ることができなかったとしても、買主の事情による契約解除となり、期限を過ぎてからの契約解除はできません。

そのため違約金を請求される場合もあります。 契約解除の判断は期限をしっかり確認した上で、迅速に行いましょう。 また、期限内の契約解除を選択するとしても、法律に基づいた手続きを踏まなければなりません。

 

万が一のお金のトラブル、不安の大きさなどを考えると、本審査に落ちた時点で自動的に契約が解除される「解除条件型」の方が安全と言えるかもしれません。

 

特約のデメリットや注意点

住宅ローン特約をつける際に注意が必要な点がもうひとつあります。

実は住宅ローン特約が認められないケースがあるのです。

 

「つけていれば本審査に落ちても安心」のはずの住宅ローン特約ですが、契約内容をしっかり理解しておかないと、本審査に落ちたのに契約解除が認められない場合があるので注意が必要です。

 

では、契約解除が認められない2つのケースをご紹介します。

【1:買主が本審査に通らないように画策を行った場合】

基本的に本審査に落ちたとしても、無条件に契約解除ができるメリットがあるのが住宅ローン特約です。

従って買主は特約をプラスする代わりに、誠実に本審査を通るための努力をするという義務を負います。

つまり住宅ローンの審査を利用し、買主の都合で契約を解除しないということです。

 

購入する気がなくなったり、他の物件に巡り会ったなどの勝手な理由で、意図的に本審査を通らないよう働きかけたりすると、契約解除は認められません。

 

審査に出す金額をアップさせるなど、契約時の取り決めとは違った申請をした場合も契約解除はできなくなります。 追加のお金が必要な時は、住宅ローン意外で調達しましょう。

【2:指定された金融機関以外への融資を申し込み、断られた場合】

住宅ローン特約の条項には「対象銀行」が記載されています。

金利が安い他の銀行の存在を知り、記載されていない他銀行へ融資の申し込みに行き、断られたとしても契約解除はできません。

複数の契約機関名が記載されている場合も、第一希望の金融機関の審査に落ち、他の金融機関の審査に通ったとしても契約解除はできません。

 

契約解除は買主にとっても売主にとっても、重要な問題です。 金融機関名・融資金額・融資が承認されるまでの期日をよく理解してから、契約を結ぶようにしましょう。