住宅ローンを退職金で一括返済することのリスクとは?
つくば市で「住宅ローン・教育資金・ライフプラン/家計」に関する相談が得意な子育て世代を応援するファイナンシャルプランナーの藤井です。
テーマ 住宅ローン 注意点
会社員として働いている場合、退職金があることを見越して住宅ローンを組む人も少なくないでしょう。
購入時点では少し高いなと思っても、退職金で残額を一括返済することで、退職後はローンに悩まされることはなくなると思えば、そうした考え方も理解できます。
しかしこの退職金で住宅ローンの残額を一括返済するという方法、場合によっては非常にリスクが高いともいえます。
それは、なぜなのでしょう?
今回は住宅ローンを退職金で完済することのリスクについてご説明します。
住宅ローンを退職金で一括返済することのリスクとは?
少し古いデータですが、2015年にシンクタンク「フィデリティ退職・投資教育研究所」が行った、退職金を受け取った男女8,630人を対象にしたアンケートのなかで、退職金の使い道の回答結果をご紹介します。
「将来、生活費に使う(23%)」が1位ですが、2位は「ローンの返済(21%)」でその差はわずか2%です。
この結果からも、5人に1人以上が、退職金を住宅ローンを含むローンの返済に充てていることがわかります。
これだけの人がローンの返済に退職金を使っているにも関わらず、退職金を住宅ローンの返済に充てることでリスクが生じる可能性があるのはなぜなのでしょう?
退職金で住宅ローンを一括返済することの最大のリスクは、老後の生活費としての現金が足りなくなってしまうことです。
現在、多くの企業で定年は60~65歳。そして厚生労働省が毎年発表している簡易生命表(平成30年度)を見ると、男性の平均寿命は81.25歳、女性の平均寿命は87.32歳です。
つまり退職してから15~20年以上は、寿命があることになります。
再雇用、再就職などをしたとしても、収入はそれまでよりも下がってしまうため、それを補うだけの現金が手元にないと、不安を抱えたまま老後を過ごさなければなりません。
退職金を住宅ローンの返済で使ってしまえば手元に残る現金が少なくなり、場合によっては老後破産といったことにもなりかねません。
これが、退職金で住宅ローンを一括返済してしまうことの最大のリスクです。
さらにもう1つのリスクとして、退職金を住宅ローンの返済に充てたとしても、残額すべてを支払えない可能性があることです。
一括返済でローン残額が0円になれば、その後の返済に悩むことはなくなります。
しかし退職金が残額に及ばず、一括返済してもまだローンが残っていれば、現金がなくなってしまううえに毎月の返済をしていかなくてはなりません。
これでは、老後の生活がかなり厳しくなってしまうでしょう。
次回は退職金での一括返済が得なのか?損なのか?についてご説明します。
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